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【異常検知コラム】基本周波数とは?異常検知に役立つ音の解析技術

基本周波数に関するコラム

異常検知のための音響解析は、設備保全や製品品質管理において、今や欠かせない技術のひとつです。今回はその基礎となる「基本周波数」について分かりやすく解説し、どのように保全業務に活用できるかを紹介します。

目次

  1. 音の解析の基礎
    1.1 音声波形の可視化
    1.2 周波数解析の基本
  2. 基本周波数とは何か?
    2.1 基本周波数がもたらすメリット
    2.2 実例:基本周波数の推定
  3. おわりに

1. 音の解析の基礎

機械や設備が発する音は、内部の状態を知る手がかりになります。例えば、回転機械や空調設備から発せられる音に異常がある場合、その波形や周波数に変化が現れることがあります。ここでは、音響データを解析する基本的な方法を見ていきましょう。

1.1 音声波形の可視化

まず、以下の2種類のサンプル音声を聞いてみてください:

SampleA1
SampleB1
SampleA2
SampleB2

にこちらの音声もご確認ください:
音声を聞いていただいた方は、次のように感じたかもしれません:

  • A1とA2、B1とB2は似た高さの音に聞こえる。
  • A1とB1、A2とB2は似た響きに聞こえる。

これらの音が似ている理由を科学的に確認するためにはどうすればよいでしょうか?

▼そこでまず音声波形を可視化します:

波形画像

図を見ると、A1とB1はシンプルな波形(正弦波)、A2とB2は少し複雑な波形であることが分かります。この違いが、響きの違いを生む要因のひとつです。

1.2 周波数解析の基本

次に、音声の高さを解析するため、周波数スペクトルを確認します。これには「フーリエ変換」という技術を用います。以下は、サンプル音声の周波数スペクトルを表した図です:

この図を見ると、A1とB1の周波数成分は非常にシンプルで、A2とB2は複数の周波数の成分が組み合わさっていることが分かります。


2. 基本周波数とは何か?

基本周波数とは、「信号に含まれる最も低い周波数成分」のことです。これは音の高さを決定する重要な要素であり、機械や設備の異常検知にも役立ちます。

2.1 基本周波数がもたらすメリット

基本周波数を特定することで、以下のようなメリットがあります:

  • 異常検知の効率化:正常時の基本周波数と比較することで異常発生を迅速に検出可能。
  • 音響特性のモニタリング:機械の稼働状態をリアルタイムで監視し、予防保全を強化。
  • トラブルシューティングの精度向上:異常箇所を特定しやすくなる。

たとえば、ある回転機械の動作音を基本周波数で監視している場合、異常が発生するとこの値が変動するため、問題の早期発見が可能になります。

他には、ヒトの声を例にしてみましょう。

個人個人で声帯の造りは少しずつ異なりますが、この違いは発声時の音の高さや音色に現れます。音の高さと密接に関係する基本周波数は、これらの違いを把握するのに重要な特徴となるため、話者認識に利用されます。
また、音の高さは単語のアクセントやイントネーションにも現れますが、このことから音声認識を行う上でも基本周波数は重要な特徴となります。
同様の理由で音声を造り出す合成音声に置いても基本周波数は重要な要素であると理解いただけるかと思います。


2.2 実例:基本周波数の推定

実際に、ある楽器の音から基本周波数を推定してみます。以下は、エレキベース3弦3フレット目を押さえた「ド(C)」の音を収録したサンプルです:

この音の周波数スペクトルを表示した結果が以下です:

Bass

少し拡大をしてみます。

拡大

図を見ると、基本周波数が約65Hzであることが確認できます。実際のエレキベースでもこの音階は「C2(65Hz)」と定義されており、収録音声のデータと一致しました。


3. おわりに

今回の記事では、音響データ解析の基礎として基本周波数について解説しました。この技術は、音響データを活用して機械や設備の異常を検知するための強力なツールです。

基本周波数解析のポイント

  1. 異常検知の精度向上
    異常音には、通常の動作音とは異なる周波数成分が含まれることが多いため、基本周波数の変動を監視するだけでも迅速な異常検知が可能です。
  2. 予防保全の強化
    機械が発する音の基本周波数をモニタリングすることで、トラブルの兆候をいち早く捉え、設備の故障を未然に防ぎます。
  3. コスト削減と効率化
    音響データを活用すれば、複雑なセンサーを設置せずとも簡易的に機械状態を把握できるため、運用コストを抑えながら効率的な保全が実現します。

自社の保全業務に応用するには?

音響解析は、特に以下のような課題を抱える企業にとって有効です:

  • 設備の稼働音が異常の兆候を示す場合があるが、現状では検知が手作業に依存している。
  • 予防保全を導入したいが、初期コストや運用の複雑さがネックになっている。
  • 品質管理の向上が急務であり、製造ラインや製品の異常をリアルタイムで検出したい。

もしこうした課題に直面している場合、基本周波数解析を始めとする音響データ解析技術は、解決の糸口となるでしょう。


まずは試してみませんか?

弊社では、音響解析を活用した異常検知システムの導入支援を行っています。具体的には:

  • 無料デモ:お客様の設備音を解析し、どのような異常が検出できるかをご提示。
  • コンサルティング:音響解析を活用した保全業務の構築方法をご提案。
  • 導入サポート:データ解析システムの設計から運用開始までをフルサポート。

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お問い合わせいただいた方には、実際の解析結果サンプルをご覧いただけます。また、専門のエンジニアが直接ご相談に対応し、御社のニーズに最適なソリューションをご提案します。


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貴社の保全業務を次のステージへと進化させるお手伝いができれば幸いです。